「腱板断裂」は、「断裂」との深刻な響きの割には、意外と積極的な治療をしなくても十分治ることがあります。中には「五十肩」と勝手に見なして放置していても、運が良ければ都合よく治ってしまいます。医療者側からすると、言葉は悪いですが、厳密な治療をしなくても案外許される疾患と考えられます。

しかしその一方、保存治療や様子を見るだけでいいものか、と心配しながら診察している「腱板断裂」患者さんがいるのも事実です。どのような患者さんが相当するのでしょうか。

まず、ここでお話しした「治る」とは、単に「痛みが取れた」「腕が上がるようになった」ことを示しています。「断裂した腱板が自然とつながる」という意味ではありません。

短期的に見れば、痛みが取れ腕が使えるようになれば問題解決です。しかし長期的に見れば、切れっぱなしの腱板に繰り返しストレスがかかることは想像がつきますね。 保存治療を行った腱板断裂が、その後どうなるかについて定期的なMRI検査で調べた研究があります。結果、腱板断裂の約半数が、1.5年で拡大していたそうです。ただし、症状が悪化するのはそのうちの約3割でした。

痛みが出ないのは助かりますが、これはかえって厄介です。というのも、多くの患者さんが断裂に気づかず、対処が遅れてしまうリスクがあるからです。

腱板断裂をズボンの穴に例えると、小さな穴は縫って直せますが、放置して大きく開いてしまっては縫うのが難しく、縫えてもまた裂けやすくなります。

実際、同じ腱板断裂の手術でも、小さな断裂の方が大きい断裂より手術の成績が良いことは知られています。現在の「腱板断裂」が、10年後には拡大が進み、治療困難になっている懸念が残るのです。

そうならないよう、比較的若い人でしたら腱板断裂と診断され保存療法で痛みが消えても、その後断裂の進行がないか、定期的な検査で確認することをお勧めします。

 

 

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上記内容は、月刊ゲンダイで当院院長安井Drが執筆していたコラム 「五十肩を徹底解剖する」から引用しております

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/353735

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